渋谷で「檸檬」、少し自分を持て余してみたい
今年の 7月、Shibuya Sakura Stage SHIBUYAタワー 3階 のイベントスペース BLOOM GATE のイベント準備真っ盛りといった夜、「レモンジャムのレモンジャム」と題し、2メートルはあろうか、大きなレモンジャムの置物が、ドンっと現れました。
イベントは、お笑いコンビ「ラランド」結成 5 周年を記念し、所属事務所名「レモンジャム」が由来のコンセプト。実際に檸檬ジャムを開発して販売し、レモンカフェも併設、コンビの人気も相まって大層な賑わいを見せていました。
ちょっとちぐはぐ、なのに「ふふっ」と笑いと同調の感情が沸く企画。それだけじゃなくて、コンビの活躍ぶりや、お笑い業と自由な空気の渋谷という場所、イベントそのものの「事業体」としての力強さを感じさせるような魅力にふと、梶井基次郎の名著 「檸檬」の一節が浮かびました。
「見当違いな空想をしてみたり、悪戯(いたずら)をしてみたり、そんな衝動がたまにむらむらと湧き起こってくる」
大人になると、「意味のあること」ばかり考えてしまうようになりませんか。
時には、なんの得にもならない、「ちょっとした悪戯のような ”ワクワク”することをする気分」を解放して、渋谷へ出かけるのはいかがでしょう。
コントロールを手放して、自分で自分を持て余す
そんな体験が、「意味のあること」にぐっと深みを与えてくれたり、、、
したら素敵じゃないですか。
70-80 年代の「渋谷の熱量」が蘇る昨今
10代前後の若者が「竹内まりあ」や「松原みき」を口ずさむ光景に驚いた方も多いのではないでしょうか、昨今の世界的な「シティポップ・ブーム」。この源流、そして着地点を「渋谷」とみる向きも多くあります。
この シティポップが台頭した 1970年代から80年代の「渋谷」は、日本、あるいはアジア最先端の若者文化の聖地へと劇的な進化を遂げた時代です。
原動力となったのは、1973年の「渋谷PARCO」の開店、そして「東急」と「セゾン(西武)」の、通称「渋谷流通戦争」(日経流通新聞などが命名)でした。
「新宿のあとに続く二番手の街」から脱却するというビジョンがマスメディアで踊り、この2大グループの競争があいまって、音楽のみならず、ファッションやアートも含めた「渋谷カルチャー」を爆発的に進化させました。
音楽の系譜としては、どこかアングラな70年代前半、特に円山町(まるやまちょう)や百軒店(ひゃっけんだな)界隈は、伝説のロック喫茶「ブラックホーク」やジャズ喫茶が乱立し、長髪の若者たちが音楽を「深く聴き入る」場所でした。
同時に、はっぴいえんど や荒井由実(松任谷由実)といった、のちのシティポップの原点となる新しい日本語のロック・ポップスがこの小高い丘の街から産声を上げていました。
1981年、宇田川町に「タワーレコード渋谷店」が当時はビルの一角に開業、その後 移転・大型化し、若者たちは、ここで未知の洋楽やインディーズ音楽を貪り、「聞き手」が発信源となり、
さらに80年代後半には、ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターに代表される「渋谷系」の土壌となるクラブカルチャーが、西麻布や渋谷の地下でじわじわと形作られていく黎明期ともなったのです。
翻って、当時の「熱量」が YouTubeやTikTok のアルゴリズムによって、ぶり返したような2010年代後半からの「シティポップ・ブーム」は、一過性の「バズ(ネット流行)」にとどまらず、リアルに波及し、最近は、「現物のレコード(アナログ盤)を所有したい」という世界的なコレクター需要へと発展しています。
薄暮の道玄坂(1961-69年)
右のビル群が現在のSHIBUYA109の並び
photo credit : gyro
その結果、当時それらの音楽が生まれ、流通していた中心地である
「渋谷」が、聖地として世界中から改めて「ロックオン」され、
世界のセレブからも見直されることになりました。
渋谷で大人が音楽を楽しむ場所4選
渋谷の魅力はなんといっても、「多様性」。
かつての「アングラ」で「高尚、確立されたスタイル」「入りにくい のがいい」魅力も芳しいままに、
渋谷区の政策でも「多様性」がうたわれるほど、昨今では「開かれた」持ち味に昇華しています。
だからここで選ぶ音楽は、自由に心赴くままに。
最近では、スタイルのある大人の代表格である、中村江里子 さんも「渋谷の大人遊び」を満喫された様子がご本人の Instagaram で公開されていました。
大正の傑作小説「檸檬」の結末では、主人公が 自身の ”憂鬱” から解放されたいような 「妄想で」檸檬を爆弾に見立てて、大きな書店に美しく並べられた高額な美術本の棚にそっと、檸檬を置き去ります。
わかっているけど、我慢するだけ、もなんだか違う。
1970〜80年代の渋谷は、行く先々に「まだ見たことのない新しいもの」が転がっている、実験場のような街でした。
それぞれの理想を抱いた有志たちの狂想と共創が育んだ街。
だから、当時を生きて今がある大人たちこそ、「日常」を束の間脱ぎ捨てて、渋谷に足を運びませんか。
この街の持つカオスと創造性、時代とともに開かれ、変わりゆく姿に触れ、「未来に向かう街」を楽しむことができるのではないでしょうか。
Shibuya STEREO(桜丘)
https://www.shibuya-sakura-stage.com/shop/detail/?cd=000108
DJブースのあるミュージックバーを併設した38階 のアーバンなダイニングバー
スピーカーブランド「タグチ」のスピーカーを採用したオリジナルの音響システムが渋谷の夜を彩ります
Villa Metropolis(奥渋)
東急百貨店本店跡地の横から、NHK周辺のあたりの総称である「奥渋(おくしぶ、駅から見て奥の方)」は、渋谷で大人が楽しめるエリアの代表格。

ビル Villa Metropolisは、音楽×スペースのこだわりが詰まった名店が並びます
渋谷SWING
https://www.shibuya-swing.com/
STUDIO MULE
https://studiomule.jp/
photo credit : Jake Olimb